2016-10-06

2016年度ドイツ研修に参加して(9/2~7)




 

[忘れられないお友達] 


研修も最終日、湖の様な川を渡り、観光気分で
gzf治療教育共同体を見学に伺った。

閑静な住宅街に広い敷地を有し、お庭も手入れが行届き美しかった。

日本人の手塚先生のピアノに合わせ歌う青年!ユリア君。
とてもきれいな声で楽しそうに歌うその姿に
涙が止まらなくなってしっまった。
そして、皆で歌うことが嫌いな私が、ユリアの隣で知らぬ間に歌っていた。

「上手に歌う事!皆と音程を合わせる事!」

私は子供の時からとても苦手だ。
彼らと一緒だと「音楽は楽しむこと、それ以外に何もないんだよ!」っと教えられた。

帰り道に、ユリアは女性だと聞いた。
私にとってユリアは男性でも女性でもどちらでもよく、
また障害があろうが、なかろうが関係なく、
素晴らしい魂の持ち主だという事が、今も私の魂を揺さぶっている。

今頃どうしているのだろう?
会いたいな!!また一緒に歌いたいな!



[悩んだら原点に戻れ] (汝、足元を見よ)


私は就寝前2階の食堂兼談話室で、一日の振り返りや、日ごろの療法の悩みなど
竹田先生を交えて、毎夜話し合う時間が楽しみの一つであった。
ある晩の事、一期生の人が長年療法を続けている患者さんの事を話し始めた。

内容は「唾液!」。

大量の唾液を出し、手の掌でベトベトにしてしまう行為。
普通なら臭いし「止めなさい!」の一言で、かたずけてしまうかもしれない。
その行為に対してなぜそのようなことをするのか?みんなで話し合った。
最後に竹田先生が一言「迷ったら原点に戻って考えてみて」 
私はその時、虫に触覚があったり猫にひげがあったり、、
きっと彼は唾液のネバネバを手の掌を使って
彼独自の確認方法を見つけたのかもしれない。

そして今の彼には必要な行為なのだと。
答えのない答えを探すこと!
不思議にとても楽しっかった。

再びユリアが登場!

なぜ私の心をここまで引き付けるのだろう?
前日に訪れ「猫とネズミとお家」の一曲で私達を一瞬にして虜にした
ツィッツマン先生の教え子だそうで、
音楽教育を幼いころから受けてきたんだと山本典子さんから伺い、
改めて「ユリアは一日にして成らず」
その人がその人であることは「原点」(幼児期)を知ると見えてくるものがある。
っと考え深く思いました。


[自分遺産]


私は竹田先生が大好きだ!
先生と一緒にドイツに行きたい!!

長年の夢が実現した。
しかし、ドイツの地でお会いした先生はナント車椅子のお姿でした。

私は悲しくなって泣き出しそうになりました。
患者になられた先生。
療法士である生徒さん達が先生にサプライズのプレゼントを考えました。

初めて外食に出かけた帰り道。
見張りを立てて、先生が次のバスでやってくるまで、
バス停の角でドキドキしながら練習しましたね!

今でもあの歌声と光景が忘れられません。
その時、秋の風と虫たちも一緒に合唱していたことも。

一期生は思慮深く、二期生は団結心に富。
それぞれの個性は違っても皆素晴らしい生徒さん達だと感じました。
先生は目には見えない資産家ですね!「教師身寄りに尽きる」とはこの事だ!と思いました。

最後に、ダウニーさんと私を快く迎え入れて下さいましたこと、
心より嬉しく感謝申し上げます。

私はこの度の体験を、「心の自分遺産」に登録することを決定いたしました。笑。

田中良子


2016-01-31

「西方見聞録」デンマークに学ぶ社会福祉研修①

「西方見聞録」デンマーク編  2015年9月26日~10月4日


戦後70年の考え深い節目の年に、同じように敗戦国であるデンマークの視察に参加できたことは非常に勉強になりました。

我が国はアメリカの保護の下に経済に重点を置きエコノミックアニマルという言葉を生み出すくらい経済、お金、豊かな生活を信じて勤勉に労働した結果が現在の日本です。

方やデンマークは資源のない国。国民という資源を有効に国家という両親に守られながらその人らしく生涯を送っていく様子に衝撃を受けました。

まず一番驚いたことは、徹底した自己決定を重んじることでした。
私は高齢者ケア南地区センター。アスタースバイ訪問を黒田博文さんと担当する予定でしたが、子供の様な好奇心と博士の様な洞察力を兼ね備えた黒田さんのお書きになるレポートは、キット数百人が把になって掛かってきてもビクともしない完璧で王道なレポートをお書きになっていらっしゃること請け合いです。

そこで、寄り道好きな横道(おうどう・笑)のレポートを東洋人の鍼灸師である田中良子が「西方見聞録」と題して、今回のデンマーク研修に参加して感じたことや西洋人の事などを、自己決定を重んじ自分でテーマをみつけ、つらつら書き始めてみたいと思います。



本当の国際社会とは「身土不二」を知ること

「しんどいレポート」とは読まず「しんどふじ」と読みます。(笑)

食養の言葉で、その土地でとれたものを、その季節に食べると健康でいられる.という意味なのですが、横道好きな私としてはこれは様々な考え方に捉えられると常常思っています、迷ったら自分に近いものを選択する。

つまり自分自身を知り、自分の足元を知らなければ正しい選択ができない。 

私は鍼灸師なので、治療師を選ぶには自分に近い人。
例えば同性、それも自分より少し年配者の治療師のほうが理論でなく体験を積んでいるから良いと考えています。

世界に目を向けるとその土地柄で日照時間や湿度、気温など風土が人間を形作り。
更に環境が人間性を(国民性)作ると私は考えます。

緯度の高い北欧の人々は如何して縦長で、赤道に近い南の人々は丸い体系をしているのでしょうか?

その答えは・・・・?


「鼻はインダスメソポタミヤである」

統合保育園サンクト・ヨーンスビヤグを訪問し、子供達と園庭で遊んだ。
とても人懐こく可愛かった。

各部屋を拝見させて頂き一番驚いた事は、乳幼児の部屋だった。
全ての窓が空き、外気の温度と変わりなく私には寒い位だった。
デンマークの人は「赤ん坊は寒いところで寝かせるとよく眠れる」との事。

私などは子供の時から寝ている時ゾックとすると、必ず扁桃腺が腫れたものだ。
このことに大変興味がわいた私はフィンランド、ノルウェー,スウェーデンを調べてみると、赤ちゃんのお昼寝法はまったく一緒であった。

各国共通している答えは「新鮮な空気を吸うと赤ちゃんはよく眠れる」

これはみんなでやれば怖くない!(笑)という迷信でなく、医学的にも、「新鮮な外気は赤っちゃんの良質な睡眠を促すだけでなく、ウィルスやバクテリアによる感染症を予防する効果がある」そうだ。



保育所や自宅の庭にポツンと乳母車が置いてある光景は珍しくないそうで、
その間にお母さんは掃除、洗濯、炊事などに時間を使うそうだ。

補足だがお隣ドイツでは?というとこの習慣はなく、ドイツに嫁いだ私の友人によると、5歳くらいまでおしゃぶりをしている子供を見かけることがある、「なんでだろう?」と言っていたが。

これは後で分かった事ですが、幼少期に徹底的に鼻呼吸の大切さを教える為だった様です。

では1年中、外で昼寝をするには幾つかのルールの様なものがあるらしいので調べてみました。


1) 気温がマイナス10度(ノルウェーではマイナス20度迄OKだそうです)

2) 風の強い日は避ける。

3) 霧や雨の日にはレインカバーをする(そこまで頑張らなくても???私は思う)。

 4) 直射日光を避けベビーカーは日陰に置く。

5) ベビーベッドのような乳母車。振動に強い大きな車輪。
   冬用はすっぽり包む寝袋のようなカバーをつけ、顔だけ出させた重装備。

6) 寒い日には赤ちゃんに暖かい服を着せる。
     ウール製品の下着からセーター靴下手袋帽子、
   さらにドレスと呼ばれるダウンジャッケットの様な物を着せ、
   ベビーカーに乗せる際には更に寝袋に入れるそうで、

     その様はまるでミノムシの様で、目と鼻だけが外気にさらされています。
     目はつむっているので機能していませんが、鼻は絶えず呼吸をするので
   お昼寝中でも働いています。
     耳も町が作り出す音や小鳥の声を聴いているんですよね!
   素敵ですね!!



ここからが本題に入ります。お待たせいたしました。笑。

「体温と外気温」の差が大きい北欧人は身体の器官の中で突出しているのは「鼻」だと勝手に私は思っています。

鼻の穴は外気を一度に大量入れないため小さく細長い。そしてその空気を肺に送り込む為の温度調節の鼻は長く高い。

細長い鼻がこの地で暮らすのに必要であり、その鼻の形に見合った細長い顔ができ、その顔に見合ったバランスの身長が必要で北欧人がなぜ世界で背が高いのか?という謎解きができた。

つまり身体が形作られたデザインの基本は鼻である、文明の発祥の地メソポタミア…身体の発祥の器官は鼻。

鼻はインダスメソポタミヤであるというお話でした。

・・・続く 

「西方見聞録」デンマークに学ぶ社会福祉研修②

「西方見聞録」デンマーク編  2015年9月26日~10月4日



余談であるが、私が以前、船の旅をして驚いた事。



北に住む白人は風がビュンビュン吹く屋外で、夕方でもジャグジィーで笑いながらお酒を飲み。

私達黄色人種は、それを見ながら寒い寒いと言って横目で見ながら部屋に入り、赤道近くの肌の色が濃い人たちは室内から出ないという、それは地球の分布図の様に興味深く思った記憶があります。

またフランス人の団体が夕食になると2,3時間ワインを大量に飲み食べ笑い、男性は半ズボンをはき、まるで酒を飲む子供の様に旅を楽しんでいました。

毎日その様子を注意深く見ていると、彼彼女らはその時間誰一人トイレに行くために席を外すことはなかった。

後日その話をスウェーデンの外資系の会社に勤務している知人に聞いてみた。
すると彼らは膀胱の大きさも違いアルコールや油を分解する酵素の量も日本人とは違う。
だから二日酔いの話は聞いたことがない。との事。

研修中に中能さんが「この国は間接照明です。」と云われた。
瞳も日照時間と関係しているように思う。
日差しの強い地域では黒い瞳で目を守り、光の少ない地域では瞳の色は薄い。
だから室内の照明も直接照明は必要ない。

肌の色も紫外線の強い地域は濃く、弱い地域は薄い。
肉食の人達は腸の長さが短く足が長い。
草食系の民族は繊維質が多いので腸が長く足が短い。

挙げていたらきりがない。

人間に限らず生き物はその風土で生き抜くための機能が備わっていると思う。
ここでいつも私が感じることは、相手との違いを知りそれを認め、自分の力量を広げる事。

同じ日本人同士でも考えが違うのに、環境が大きく違う国々では身体の機能も表現の方法も違う。
グローバル化した現代にとって身土不二があって、それぞれの足元の個性を「その国のらしさ」、「その人のらしさ」を育てていくことが大切で、「暴力や権力で破壊し続けるその国らしさ」の表現の虚しさからもう私達は卒業したい!!

 「話し合いや議論の大切さを根気よく学習する教育」

それこそが今の世界に求められていると思う。

それには大人が大人でありたい。
暴力で表現するのは子供だ。
それを諭せる人でありたい。

それを今回の研修でデンマークという国から学んだ。

・・・続く

「西方見聞録」デンマークに学ぶ社会福祉研修③

「西方見聞録」デンマーク編  2015年9月26日~10月4日



「自分らしさ その人らしさ」という言葉の呪縛

人は誰でもこの言葉だけは、この表現だけは嫌いだというこだわりがありませんか?

デンマークの研修中「その人らしさ」という言葉をよく耳にしたように思います。

私は小学生の頃から人に「あなたらしくない」と言われると無性に腹が立ちました。

「らしさ」という表現は相手自身を限定してしまい、さも相手のすべてを知っていて、そのイメージからはみでると「あなたらしくない」と言っている様に子供ながら感じていたからかもしれません。

私の何を知って相手はその言葉を使うのだろう?

私は今日の今日までその言葉を他者に対しても自分自身に対しても使うことを避けてきた様に思います。

切り捨ての言葉として冷たさを感じていました。

しかし、この国デンマークで乳幼児から高齢者、障害を持った人々、精神障害者…
様々な多様な人達の生活を拝見して、その人が不足している何か、不便に感じている何か、その部分を補う何か。


 「らしさ」とはその人らしくいられる補足の言葉として温かみ感じることができ、62年の言葉の呪縛から解放されました。





まとめ

海外旅行に出かけることは自分の世界観が広がる。

観光で出かけてもそう感じるのであるから、その国の人々の誕生から墓場までを垣間見ることができた今回のデンマークの研修は、帰国してから私の考えを根底からくつがえした。

帰国してから毎日の様に報道される、近親者の殺人事件。

90代の老人が70代の息子に殺害された!90数年このご老人は息子に殺される為に生きてきたんではないはずだし、息子も70数年生きてきて父親を殺すために生きてきたはずはない。

終の棲家が刑務所の中。
そんな事件が後を絶たない日本の現状。
日本の殺人事件の三分の一は近親者によるものと聞く。

この加害者は実はこの国の被害者でもあるとも言える。
日本の役人や政治家達は公のお金より個人のお金を大切に思い、
デンマーク人は個人のお金より公のお金を、「国全体のより良い生活の為に本気で大切に使う」

この違いは増税を考える形だけの日本人の今後の大き過ぎる課題だ! 


最後に、中能さん、夏代さん、参加者の皆様、本当に稔りある研修をありがとうございました。


田中良子